Aethel: プログラム可能な支払ストリームの債権化
支払ストリームそのものが債権になる。Aethel は、貸し手、格付けモデル、保証人、売買の場のどれも固定して作り込まない。提供者は明示された権限(capability)を通じて参加し、自分が責任を負う artifact(署名付きの成果物)に署名する。提供者は、ストリームの支払の意味を変えずに、入れ替えたり組み合わせたりできる。Aethel が記録するのは商業上の意味とライフサイクルである。正本の資産とその決済は DeFMI に残る。
出典: aethel/README.md · 12 の crate、中心は aethel-core · 研究実装、監査未実施
全体の流れ
flowchart LR
S["署名された支払ストリーム"] --> R["ストリームを登録"]
R --> RS["債権シリーズを作成"]
K["DeKYX
資格を持つ主体"] --> C
C["与信提供者
署名した判断を提出"] --> G
G["保証人
保証範囲を確約"] --> F
F["資金提供者
資金供給の見積を提出"] --> I
RS --> C
I["債権を発行"] --> P["zkPI
決済指図"]
P --> D["DeFMI
資産と資金の決済"]
I --> M{"支払ストリームの結果"}
M -->|支払済み| X["債権を終了"]
M -->|不履行| A["不履行の attestation"]
A --> W["DeCCP
保証請求 / 損失配分"]
W --> D
開かれた提供者モデル
| 権限(capability) | 責任 |
|---|---|
StreamAttestor | 支払ストリームとその更新が正当であることを、attestation(署名付きの証言)として示す |
CreditAssessor | 資格を満たす債権について、与信判断に署名する |
Guarantor | 外部の与信ファシリティを裏付けとする保証を確約する |
LiquidityProvider | 実行可能な資金供給の見積を提出する |
Servicer | 許可されたサービシング行為を行う |
CredentialIssuer | DeKYX の発行者鍵を請け合う。貸し手や保証人にはならない |
ある権限を持っていても、別の権限が自動的に付いてくることはない。与信判断が、黙って保証として働くことはない。保証人も、別途認められなければ資金供給の見積を出せない。提供者は、一時停止されることも、恒久的に失効されることもある。鍵を交代しても、以前有効だった鍵で署名された artifact は検証できるまま残る。一方、退役した鍵で新しく作られた artifact は拒否される。
中核の状態
AethelBook は、検証を通った状態をまとめて保持する集約体である。記録する内容は次のとおり。登録されたストリームとその状態、債権シリーズとその方針、与信判断、保証の確約と解放、資金供給の見積、債権の発行、不履行の attestation と保証請求、提供者の定義。各操作は、安定した識別子、有効期間、nonce、方針のダイジェスト、署名を持つ。状態遷移では、重複、想定外のバージョン、誤った権限、期限切れの artifact、整合しない参照を拒否する。
資格と秘匿
シリーズは、与信判断や保証を受け入れる前に、DeKYX の匿名提示を要求できる。提示は、Aethel のドメイン、行為、未署名の artifact の言明、nonce、期限に厳密に束縛される。したがって、ある判断のために作った証明を、別の判断に使い回すことはできない。Aethel が保存するのは、検証済みの subject line(提示された主体を表す一行)への束縛だけである。保証額は秘匿したままにできる。その場合、Aethel と DeCCP は平文の金額ではなく、commitment(値を隠したまま固定する暗号学的な封印)、状態のダイジェスト、識別子、検証済みの遷移受領証を交換する。
決済
発行や請求で資産が動くときは、ホストが型付きの zkPI を作成し、DeFMI に決済を求める。Aethel が最終状態を変えるのは、ホストが決済の証拠を検証した後だけである。配置によっては、保証を受け入れた時点で DeCCP に留保(hold)を予約できる。その留保を発行時に束縛し、債務が終了した時点で解放するか消費する。
crate 構成
crates/
├── aethel-types/ shared identifiers, digests, time and signature checks
├── aethel-provider-sdk/ provider capabilities and signed artifacts
├── aethel-core/ stream, receivable, guarantee and issuance semantics
├── aethel-tokenization/ supply caps and external-ledger mint/burn intents
├── aethel-distribution/ circulation admission, venue fills and settlement binding
├── aethel-obligation-wallet/ bounded pre-authorisation and payment retry queue
├── aethel-servicing/ payment evidence, delinquency, cure and default evidence
└── aethel/ composition boundary and end-to-end tests
正本の一覧は cargo metadata --locked --no-deps の出力である。構成図は、その crate が出荷済みであることの証拠にはならない。
現在の限界
- 匿名の資格証明の契約は、scope ごとに仮名が変わる設計である。発行者から見て連結不能ではない。
- 発行者をまたぐ Sybil 対策の方針は、crate の外で統治または登録簿が決める必要がある。
- 保証請求と解放が扱うのは、全額をカバーする遷移だけである。部分的な遷移には、状態モデルの拡張が必要である。
- 債権の法的な譲渡、対抗要件の具備、税務、会計、倒産時の扱いは、コードの外にある。